台湾映画、霧がごとく

映画『霧のごとく』公式サイトhttps://www.afoggytale.com/

(1950年代、国民党政府は、共産党スパイ容疑で摘発、殺害)
1945年8月、終戦後の台湾は、中華民国軍の占領統治下となりますが、1947年2月、台湾人は、中国による統治に反発、大規模デモが発生し、当局は約2万人の台湾人を殺害します(228事件)。

中華民国は、中国大陸で、中国共産党と内戦状態にありましたが、戦局は不利になり、1949年に、中央政府が台湾に逃げ込みます。ここで、中華民国政府は、中国共産党への内通者摘発として、、台湾人、中国人の拘束、殺害を行います(白色テロ)。その取締りの過程で、密告、情報提供といった仲間、知人を「売る」ということも行われます。

(拷問死、銃殺。関係者は情報提供を強要)
この映画は、1950年代初頭のそうした台湾社会、政治の状況を映像化したものです。摘発での拷問、殺害はまったく非人道的、残酷で、鬼畜の所業といっても過言ではありません。もちろん裁判の手続きはありません。
同時に、摘発の対象者の周辺では、情報提供を強いられ、それに応じざるを得ないという相互不信、良心の損失という心的障害が長く残ることになります。この映画の本質の一つは、この部分にあります。その内容を映像化した価値は非常に大きい、と考えます。

同時に1950年代初頭の台北駅周辺、そこに住み、生活の営みをする人々を映像で再現したことも、稀少であり、貴重な表現と考えます。

投獄された人数は約14万人、殺害された人数は、数千人とみられています。

白色テロ (台湾) – Wikipedia ja.wikipedia.org

(現在の時代的意義)
民主化から約35年が過ぎました。40歳以下の人たちは、民主化社会で教育を受け、その価値観を十分に受けて成長したといえますが、一方で、それ以上の年配者は、1980年代までの異常な教育、社会の情勢下で、成人形成されたことになります。社会的人間としての不一致、分断があると指摘できるでしょう。

自由民主化は定着しましたが、憲法はじめ法体系には、旧時代の残滓があります。それは、国家観、アイデンティティに影響し続けており、その原因をさぐる、現在の台湾を考える、そうした上で、意義のある映画だと思います。

ご鑑賞をおすすめします。


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